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Backyard/El traspatio

4月2日、ずっと見逃していた『Backyard/El traspatio』を観にいってきました。
Cineteca Nacionalでカルロス・カレラ監督の舞台挨拶つきだというので。
会社から走り出て、駅からも走って、走って。
うわーもう既に長蛇の列! と思ったのですが、
実は思いっきりすかすかで、半分も埋まっておらず、真ん中に坐れました。

さて、いろいろ評判を聞いて、それなりに期待していたのですが…。
その分、ものすごく残念で、がっかりして、最後の記者会見では、怒りさえ覚えて、やりきれない思いでいっぱいに。

一緒に観にいった連れとずーっと悪口を言い続け、しかし何が悪いのか、どうであればよかったのかなどをずーっと議論しあいました。

ま、映画テクニック的には悪くないのです。メキシコ映画よりもハリウッドに近い"レベル"の映画という意味では評価できるでしょう、ね。

でもまあ…ひと言でいうと、ひどい映画、でした。私には。ある意味同じ題材を扱ったハリウッド映画『ボーダータウン 報道されない殺人者』の方が(こちらも評価の低い映画ですが)まだ映画として評価できる…と。

Backyard-El traspatio [原題]

Backyard/El traspatio

[基本データ]
■解説:サビナ・ベルマン脚本、カルロス・カレラ監督によるメキシコ映画で、実際にメキシコ北部のシウダー・フアレスで起きている女性殺害問題をベースにした社会派スリラー。

■あらすじ:理想主義のきらいがある若い女性警官ブランカ・ブラボが、北米とメキシコの国境にあるシウダー・フアレスに着任。毎月2人の殺害者の遺体が発見されるこの都市で、犯人をあげようと張り切るが、そのうち、その事実にふたをしようとする圧力と直面し、上層部や腐敗した社会と戦うことも余儀なくされる。一方、チアパスのシンタラパから17歳の少女フアニータはキカイという名のマキラドーラで働くためにシウダー・フアレスにいとこを頼って到着。田舎から出てきたばかりで先住民語を話す彼女は、いとこらに影響を受け、化粧して着飾り、夜遊びすることに夢中になっていく。国境でさまざまな思惑がうごめくシウダー・フアレスで二人の運命は…。

■監督:カルロス・カレラ(Carlos Carrera)
■脚本:サビナ・ベルマン(Sabina Berman)
■出演:アナ・デ・ラ・レゲラ/Ana de la Reguera(Blanca Bravo)、Jimmy Smits(Mickey Santos)、Alejandro Calva(comandante)、Joaquín Cosío (Peralta)、Asur Zágada(Juanita Sánchez)、Adriana Paz(Hilda)、Enoc leaño(gobernador)、

■撮影:Martín Boegé
■音楽:Fernando Corona Murcof
■上映時間:122分
■ジャンル:スリラー
■製作国/地域:メキシコ
■公開年度/日本公開年度:2009年2月20日/未定
■配給:Paramount Pictures
■オフィシャル・サイト
http://www.backyard-eltraspatio.com/ (西語)

[REVIEW・CRÍTICA]
■鑑賞日:2009年4月2日(映画館・メキシコ人と)
■勝手に評価:[★----]

●監督
監督のカルロス・カレラは日本でも公開されたガエル・ガルシア・ベルナルとアナ・クラウディア・タランコン主演の『アマロ神父の罪/El crimen del padre Amaro』(2002/メキシコ)、『Sin remitente/差出人のない手紙』(1995/メキシコ)で有名な1962年生まれ、メキシコシティ出身の監督です。若干28歳で撮った1990年初の長編映画『ベンハミンの女/La mujer de Benjamín』が高い評価を得ています。2005年の前作『Sexo, amor y otras perversiones - María en el elevador 』もまあまあ話題になったのかな。持ってるけどまだ観てません。

●脚本
脚本のサビナ・ベルマンは1955年メキシコシティ生まれの女性で、作家・エッセイストとして主に活躍していますが、まあ脚本家であり、詩人であり、心理学者でもある…と。

この映画はこの二人のタッグが注目されていて、対談がYahoo!MexicoにUPされています。音声聞ける環境に無いので聞いていませんが。
http://mx.video.yahoo.com/watch/4531028/12138078

●主演女優
主演女優のアナ・デ・ラ・レゲラは4月8日の今日が誕生日。本名はAnabell Gardoqui de la Regueraで1977年ベラクルス生まれ。同い年です。テレビドラマ出身で、一応今は国際的に活躍する女優。日本だと『ナチョ・リブレ 覆面の神様/Nacho Libre』(2006)くらいでしょうか。
公式サイト
http://www.anadelareguera.net/(英・西語)

とにかく美人女優なんですよねー。最近映画のプロモもあるんでしょうが、いろんな雑誌に出ています。その美人がこの映画に出演するために8kg減量し、化粧もせずに出なければならなかったとか。ま、確かに映画の冒頭でも誰も彼女と気づかないくらいの変身っぷりです。てか、普段化粧濃すぎなのでは…。
Backyard/El traspatio01

撮影のMartín Boegéは『El Violin』 (2005) とかも撮っててなかなか活躍してるのでは。監督業もやってます。

●舞台
シウダー・フアレス(Ciudad Juárez)はチワワ州最大の都市で、人口114万人。リオ・グランデ川を挟んでアメリカ合衆国テキサス州のエル・パソと橋でつながっています。このメキシコとアメリカの国境地域では、マキラドーラと呼ばれる対米輸出工場が多数あり、そこでは免税が適用され、安価な原料と人件費のため、日本など外資の工場も多いといいます。また、稼ぎ手として各地方から多くのメキシコ人が集まります。

●背景
さて、この映画の題材になっている事件は国境の町シウダー・フアレスで今も増え続ける女性殺害事件。10年で5000人以上といわれる被害者の多くは、免税される対米輸出工場(通称マキラドーラ)の劣悪な環境で搾取される貧困層出身の若い女性達だといわれています。メキシコの汚職まみれの警察の捜査放棄や政治家による情報隠蔽で明るみにされない主な目的は臓器売買、カルト映画撮影のためなどいろいろ言われていますが、強姦され、性的な暴力を受けたのちに遺棄されているものが多いといいます。

ネタばれになる可能性もあるのですが…、ベラクルス州での性犯罪数がメキシコの中で、フアレスよりもずっと多いってのはちょっと驚きでした。ペルーのリマやアルゼンチン・リマで、ってのも。アメリカも2004年だけで3000人以上いる、とか。でも映画内では話を一般化してもしょうがない…のではと思います。

●類似映画
類似の題材を扱った映画で日本で公開されたものとしては、ジェニファー・ロペス、アントニオ・バンデラス出演、フアネスのライブシーンも話題となった『ボーダータウン 報道されない殺人者』(グレゴリー・ナヴァ監督(2006年)。

●フアレス女性連続殺人に関する報道など
活動家、政府のフアレス女性連続殺人報告書を非難
http://www.news.janjan.jp/world/0602/0602269909/1.php
日本語ではこの程度のニュースしかないのですが、とりあえず。

ここからは…かなり細部に入っていくので、読みたい方のみクリックを。

●日本の企業の描き方
冒頭で、殺された女の子、主人公のひとりフアニータらが働いていたのが日系企業"kikai"という名前です。Maquinaの直訳が機械、なのですが、まず、これがバカにしすぎ。

さて、この"kikai"という日本企業は、女性労働者にはピルを飲ませて妊娠しないようにして雇用します。さらに冒頭の殺人事件においては、現地法人の日本人の社長が、ウチの名前は報道するな、と抗議するのです。ついで、各企業が集う会議で、アジアのほかの国ではもっと安く労働力がつかえるのだと主張する日本人の数字主義、エゴを強調するシーンが。で、極めつけは、最終的にトヨタなどとやりとりがあるこの"kikai"含めて日本の企業は、もっと安い労働力を求めてアジアに移っていったのだというのです。

これは日本企業への堂々たる抗議と思ってもいいのではないでしょうが。しかし、日本なめられたもんです。日本の企業が多くあるといっても、大半はアメリカ企業。しかし、彼らの企業の名前は一度も出てきません。抗議を恐れたのか、実際に抗議されたのか。日本ならスペイン語もわからないだろうし(映画の中でも通訳をつけているのは日本の社長だけ、という批判振り)、実際の企業名を出しても抗議さえこないだろう、と思ったのでしょうか。正々堂々と日本企業への批判をしていると感じさせるならまだしも、日本ってことでいいんじゃないか、と安直に悪玉にされた感があります。

●主役の婦人警官ブランカ・ブラボの描き方
メキシコ人で、あんな女性警官っているんでしょうか。化粧もせず、怯えるように銃を構え、感情を高ぶらせて射殺するような。また、女性警官と男性警官二人だけのシーンで、非常に危険が予測される状況で、彼女が先頭きっていくようなことあるんでしょうか。このマッチョな国のメキシコで?? 男性が前に出ていきはしませんか?

女性であのポジションに上り詰める人って、メキシコ・スペイン語のいうカブロナ、でなければならないはず。彼女はただ感情的で、メキシコ人らしさがまったくないような気が。外国人、ハリウッド女優が演じるアメリカ人のようです。で、脚本上でもたいしたバックグラウンド、ドラマもない。ならいっそ、バカバカしいけど『ボーダータウン』の女性記者ジェニファー・ロペスの役柄の方が、ラティーナの血をひく、アメリカ人である彼女が犯すバカバカしさも、まだ、受け入れやすいように感じます。無いよりはあった方がいい、という程度ですが。

主役の女優は雑誌などのインタビューで、彼女は上層部や政治的な思惑の中で、不正と戦う女性なの、と主張しています、が、なんかきれいごとすぎ。

●主役のチアパス出身の女の子、フアニータの描き方
田舎から段ボールさげて(ものすごーーく重そうなみかけなので、まるで、中身がすかすかのように運ぶ)出てきた先住民の女の子。いとこの家につくなり、彼女達の原語をミックスさせながら話す…のですが、これも違和感ありすぎ。アメリカでもそうですが、普通バイリンガルの彼女達、彼女達同士ではスペイン語で話すはず。ほとんど話せないならわかるけど、彼女らは、都会の文化に憧れ、テレビに出てくる人のように振舞いたい、としているなら、彼女ら同士で使う言語はスペイン語が中心、となるのが当たり前です。アメリカで生まれ育ったメキシコ人なら、親と話すのはスペイン語かもしれないけど、年齢が近いいとこや友達同士なら、英語で話すはず。

そして、着くなりあっという間に売春婦のような女の子に変わるという点。大抵の人は嫌悪感しか覚えないのでしょうか。はだしで髪も整えず、化粧もしないで、現地語をしゃべる若い女の子が、葛藤もなく、化粧をし、髪型を変え、1日後には、男の子に蓮っ葉な口を聞いて、あっという間に一緒に踊ったりするんでしょうか。そして数日後には、男の子を自分から胸を触らせてセックスに誘い、なんてことするでしょうか。で、さらにすぐ様振って、他の男についていって、男を翻弄するんでしょうか。ゼロじゃないことはわかります。でも…全然リアルに感じない。これがもし、最初はおどおどする彼女に、いとこが、まわりの子が説得して少しずつ彼女が変わって、調子に乗っていくならわかります。実際にテレビや雑誌をみて、それに憧れを募らせているなら、あるいは寂しさからならば。でも全然伝わらない。

これがほかの国の話なら、まだわかります。スペインとかアメリカとか。でもメキシコの今の状況で、っこういう女の子は、プータと呼ばれて嫌われるだけで、主張なんて理解されません。しかも彼女は美人ですらない。まわりがはやし立てるような女の子にもみえない。あれじゃあ、ひどい結末を迎えても彼女が悪かった、としか思えないのではないでしょうか。

唯一、彼女のレイプシーン、殺されて捨てられるシーンは迫力がありましたが。ただ、当然の報い、としてしか受け止められないのでは。。。

演じた女優の舞台挨拶も腹立たしかったんです。
女性が何故色っぽくふるまっては(coquetear)してはいけないのか、何故挑発的な格好をしてはいけないのか、したいことをしてはいけないのか、と。

それは最もで、そのとおりなんです。私も常日頃主張することだってあります。ただ、今メキシコで抱えている現状、特にフアレスの状況と併せて主張するにはあまりにも説得力がない、ということ。殺されるに値することではないけれど、同情させる主張にはまったくなってない、と。

この映画は女性が脚本を書き、女性問題に特化して、特に女性が受ける性的暴力について描いているのもわかりますが、あまりにも話が飛躍しています。





さて、要するに、全体的に、どうしてこんなにも腹立たしいかというと、監督にとって、制作陣にとってもあまりにも他人事、として描いているように見受けられること。

そして、描き方があまりにリアルじゃない。映画なんですから、事実を描かなくてもいいんです。でもリアルさをちっとも感じさせない、というつっこみどころ満載なシーンがありすぎ。これが、ハリウッド映画なら納得するけれど、メキシコで制作した映画ならば、もっと他人事にしないで欲しかった。

登場人物がすべてマヌケにみえます。マヌケだ、と批判するならまだいい。批判する視点があるならば。ただし、ただマヌケだからひどい目にあい続けるんだ、という視点が見え隠れするようで腹立たしかったのです。どの登場人物にも感情移入できない。愚かな人間にたいても、愚かさにおちいる過程、バックグラウンドが見え隠れすれば、どんな境遇の人にも感情移入できます。この映画ではそれがいっさい感じられなかった。目下、と仮定されているものたちへの愛情がないのです。

遠くの国で、遠くの人たちで、バカなやつがバカな犯罪をバカなヤツに犯している。で、メキシコだけじゃないんだ。いろんな国でみんなそれやってるんだよ、って。それだけ。

政治的なメッセージを含んだ映画を扱うなら、もっとちゃんとそう望んで欲しい。中途半端な社会派気取った映画を送るくらいなら、辞めたほうがいい。

つまり、テーマとしてこの話題を扱うべきだ、というプロデューサーの提案があり、それに乗っかった脚本家と監督らがプロの仕事を、仕事としてやった、という印象しか受けないのです。

そしてストーリーがストーリーとしてろくに成り立っていないのも気になり。結局は脚本家に原因があるのでしょう。裕福な階級の流行作家にはわからない。

それ以上のものを期待するほうがおかしいのかもしれないですが。

長くなりすぎたので会見の様子はまた別途。
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テーマ : スペイン語映画
ジャンル : 映画

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なぜ酷評されているのかを不思議に思いました。

まだ映画は見ていませんが...遠い異国でひどい事件が起きているのに揉み消されていることを知りメキシコの大統領宛てにメールを出しました。
映画の内容や描写はわかりませんが、フアレスという町でいったい何が起きているの?と調べ始めるきっかけにはなると思いります。メキシコ国境付近の治安が悪いのは部外者の私でも何となくですがわかってました。
最近ではスプラッタ映画の代表地ように取り上げられてます。広大な荒地が続く渇いた砂漠地帯は犯罪者達の逃げ場には最適なのです、残念ながら人目がないというのは本当に取り締まりが難しいのです。
おそらく…映画を見ないまでも経済紙やメールニュースなどにも掲載されておりましたので、外務省、国交省、まあ政界でなくとも報道の方でもそうだとは思いますが、知る事が大事です。
携わる人であれば治安維持への資金援助の題材としてはまず注目される事が第一だと思います。おそらく監督の意図は映画の出来栄えより、世界で注目されることの方が大切なのかもしれません。傍観者としてそれもわかっていたはずです。手にとる、気にしてもらう事すら無かった事件が下手な映画で脚光を浴びる。現にこれからもフアレスの工場で働かなければ生きてさえいけないご家族にとっては最も重要な事なのではないでしょうか。
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